さとうの美味しいごはん

感想・考察など

【モリミュ】Op2

ミュージカル憂国のモリアーティOp.1、Op.2をアーカイブ配信で観劇しました。

感想としては、全く期待していなかった過去の自分を悔い改めさせたいくらいにどっぷり沼りました。
駆け込みで2日間で2.5週ずつしましたが、もうモリミュの事しか考えられない。

https://www.marv.jp/special/moriarty/moriarty-2/

Op.2

Op.1に比べて歌の挿入が演技とシームレスになっていて凄く良かった。
全部好きなのですが、特に印象的だった曲を2曲

#ルイス×アルバートのデュオ ~バスカヴィル家の狩り導入~

 ルイスが兄への思いを歌に乗せる3拍子。舞台の上段にいる兄ウィリアムを仰ぎ見ながら、ルイスが兄への思いを吐露するシーン。
ルイスの歌声への気持ちの入り方はもちろんなのですが、ウィリアムとアルバートの所作が特に印象的でした。
平場に立って熱唱するルイスを、上段から兄二人が見下ろしている構図ですが、最初、ウィリアムはルイスの方から目をそらしていました。それをサビに差し掛かったところで、アルバートがルイスに微笑みかけ、ウィリアムの肩に手を置きます。そこでようやくルイスに目を向けたウィリアムの様子にアルバートは頷きを返し、再びルイスの方に慈愛に満ちた表情を返します。アルバートが橋渡しになって、ルイスの思いをウィリアムが受け止めたような演出でした。
 もう一つ、この構図で暗示を感じたのがライトの当て方。
 そのまま、アルバートはウィリアムを通り過ぎて、ルイスから少し離れた上段の隅に移動します。すると、舞台の下段下手にルイス、上段中央にウィリアム、上段上手端寄りにアルバートが立つ位置関係に。ライトは下段全体明るく照らし、上段は中央のウィリアムのみにスポット、アルバートは陰になっていました。ここのルイスの歌詞は、「兄さんが導く新しい世界をともに見たい(意訳)」と言った意味だと記憶しているのですが、新しい世界を歩ませようと2人の兄から希望を乗せられているルイスには全面ライト、おそらくこれは新しい世界の暗喩で、ウィリアムにあたるスポットがルイスからみた兄への憧憬、そして陰にたたずむアルバートの抱える闇がそれぞれ象徴されているように感じました。(私の個人的な解釈では、アルバート兄さまの闇が一等深いので、演出家さんに解釈一致の握手をしたいです)

#~2人の探偵~

 ホームズのはったり、現場検証。食堂車でホームズがウィリアムに対して犯罪卿の考察を語るシーン。
 まず光るのが、驚くほど偏屈な早口で歌うように己の推察をまくしたてるシャーロック、そしてシャーロックの推理に対して歌で心理描写を返すモリアーティ従者3人の掛け合いです。この部分、ホームズはメロディに一切載せておらず、すべて語りですが、それでいてしっかりと音楽を構成していました。そして、心理描写担当の3人の歌割りがとても上手。シャーロックの喋りの途中で、シャーロックのブラフに対し警戒を強めるシーン。シャーロックの長台詞に区切りがつくタイミングで、食堂車のボックス席に座っていた彼らは、鋭いメロディーに乗せて3人が立ち上がります。そして、お互いに言葉尻をかぶせるような密な歌割で鋭い警戒心と殺意を表現しています。最後、「手に負えなくなる前に消さねば」「殺すか」「殺さなければ……」という台詞を残して、歌い始める前の座席へとしれっと何事もなかったように着席するのも、彼らの逡巡をより鋭く印象づけたようにおもいました。