さとうの美味しいごはん

感想・考察など

作品リスト

2022年1月~3月

舞台

  • 演劇の毛利さんvol.0 星の飛行士(ニコ生配信) 

  サンテグジュペリは児童文学ではなく、大人のためのメッセージに違いないと思った。感想「音楽劇星の飛行士」 - さとうの美味しいごはん

  • ミュージカル憂国のモリアーティOp.3(円盤)
  1. ミュージカル憂国のモリアーティ Op.3 ホワイトチャペルの亡霊 - さとうの美味しいごはん
  2. モリミュ Op.3 感想追記 シャーロックの『哀しみ』と真実の非万能性への自覚 - さとうの美味しいごはん
  • Japan Musical Festival 2022(渋谷公会堂
  • 名曲フレッシュコンサート(練馬文化会館大ホール)

 東京都交響楽団ストラヴィンスキー火の鳥」、ボロディン「だったん人の踊り」を目当てに聴きに行きました。ホルンの西條さんがあいも変わらず素敵でした。

  • 舞台『文豪とアルケミスト 綴リ人ノ輪唱』
  • ミュージカル「天使について」鈴木・石井回、鈴木・鍵本回(自由劇場

小説

  • 砥上裕將「線は、僕を描く」

  水墨画の精神性をとても分かりやすく描いてくれる作品。スポコンでもなく、大学生活のくだらなさを大切に描いた作品でもなく、その中間のグラデーションを水墨画の濃淡に乗せて映し出しているような穏やかさが心地よかった。水墨の技法も詳しく書いてあってつい作品を見てみたくなる。

  女性なのでは?と錯覚しながら読んでしまう作家さん。きっと、「気づかせてくれる」女性の立場に存在する歪みの部分にひどく共鳴してしまうのだと思う。朝井リョウの作品の賞味期限はきっと20代で、数年後にはこの方の本に思い入れを持っていた自分をひどく青くてくだらなく思うんだろうなと予想しつつ、今の共鳴を大事にしたい。他の作品も早いうちに読んでいきたい。

  長年本棚に積んであった、年季入りの積読をようやく消化しました。上巻は人間が信じられなくなるばかりで面白い展開はまったくと言っていいほどなく……。しかしこれでようやく十二国記の世界の入り口に立つ権利を得られたのだと、続きを少しずつ読んでいきたいと思います。

 

  無料の動画配信サービスがインフラになって、誰もが暇な時間を無料で体力を使わずにつぶせるようになった時代には、映画なんていう、3時間も人の時間を奪って、ありったけのメッセージをこれでもかと込めて作り込まれた映像作品を受け取るなんていうのは体力を使ってしょうがないんだ。消費者はそんなものを求めていない。そんな現代に映像を撮り続ける、別の道を歩んだ青年2人のお話。暇な消費者が払っているものは、お金じゃなくて時間なんだよ。時間を払ってまで、体力を使うものを見せられたくないんだ。youtubeから垂れ流される映像は、時間をつぶすのにちょうどいいんだ。作中で青年2人に向けられたこれらの言葉は、瞬時に否定したいけれど、そうなってしまっている世の流れを否定することはきっとできない。映画とyoutubeが同じ土俵で、消費者の「時間」をめぐって競うような、市場が重なる時代なんだなと思うと、直観的に違和感を覚えるけれど、認めざるを得ないと納得してしました。最近盛んになった舞台配信のアーカイブに「時間が無い」と手を出せないでいるのに、Youtubeで予告PVを何回も繰り返し見ている自分にも少しハッとさせられました。

 『星の飛行士』以来、サン=テグジュペリがブームです。曲芸子として芸を磨き、少女時代の一瞬の儚さと若さと未完成さゆえの魅力で芸を売る女の子たち。

 カクヨムにて連載中。最近の楽しみです。

  • 恩田陸『私の家では何も起こらない』

漫画